黒瀬くんの恋模様。
『…涼、どうした?』
ゆっくりと優しく私に話す黒瀬くんに涙が出そうになった。
久しぶりにちゃんと話せた。
話せてよかった…本当によかった…
『涼?どうした?』
「あ、あのね…ふたりで駅の近くのファミレスに来てほしいの…」
そう声に出したとたんに心臓はドキドキするし、変な汗は出てくるし…
でもそれにできるだけ気づかれないように、声のトーンを少しだけ高くしてみる。
『文香と行けばいいんだな?待ってろよ』
「うんっ」
電話の向こう側から少しだけふみちゃんの声が聞こえた。
嫌よ千尋
そう言ってた気がする。
私は通話を終えた携帯の画面を見つめた。
黒瀬くんの声が通った耳が熱い
「涼、どうだった?」
眉間にシワをよせて緊張しているハル先輩が弱々しく聞いてきた。
「来ます」
私がそう言うとハル先輩は安心したような、でも少し緊張したような顔で笑った。
それから30分後
黒瀬くんとふみちゃんが来た