黒瀬くんの恋模様。



「本当はね?もっとはやく遊びに来たかったの。」



文香は俺をみることなく話し出す。




「でもここに来るとハルを思い出しちゃう。だからずっと来れなかった」



…俺もそうだったよ。




ここに来たらハル先輩を思い出して、ハル先輩と文香を応援してた頃の自分に怒られる気がして来れなかった




二人を応援してたんだろ?



それなのにどうして文香の背中押してやらねぇんだよ。



ハル先輩を引っ張ってでも文香の所に連れてこなかったんだよ。




中学生の俺がそう言ってる気がして耳を塞ぎたくなる。




「あの頃は幸せだったのにな…。」




そんなのことを呟いた文香に胸が痛む。




俺はどこで何をしていれば文香にこんな思いをさせずにすんだんだ?



言わせずにすんだんだ?






もう逃げたくない。




逃げててもずっと文香にこんな思いをさせるだけだ。




これは文香を好きだった自分のけじめ。












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