黒瀬くんの恋模様。






来るときには気づかなかったけど、歩きながら見渡すと懐かしい気分になった。




文香とハル先輩と3人でよく来た公園



おいしいという噂があったけど店長が怖くて入れなかったお好み焼き屋



試合で負けた日には必ず来たごみ捨て場裏のコート









その時の俺に戻った気持ちになる。




俺は文香が好きで好きで仕方なくて。




でも今はあんなに好きだった文香のことよりも涼が好きだ。



「文香?」



「何よ」




相変わらずの強気な文香で俺は安心する。






そして俺は疑問に思ってたことを文香に聞いた。





「あの日お前は俺に私に縛られなくてもいいのよみたいなこと言ったけどさ。縛られた記憶ねえけど?」





あの日、とは俺が涼を好きだと気づいた日。




その時に文香に抱き締められて言われた言葉がずっとひっかかってた。




でも自分でも不思議なことにその言葉を聞いたらすっと文香よりも涼が好きだって思えるようになった。




文香はまだ理解してなかったのかお前は、とかなんとか言いたそうな顔。


















< 114 / 174 >

この作品をシェア

pagetop