黒瀬くんの恋模様。
千尋side
涼とハル先輩が待つファミレスにつくとなぜか早坂と麗子サンもいた。
「こんにちは」
そう微笑む麗子サンの隣に脱け殻状態の早坂。
俺たちが来る前に怒られたんだろうな…
あの日の麗子サンの迫力を思い出して震える。
「文香…」
「…ハル」
そんな言葉が聞こえてきて、俺は涼を見た。
涼も俺を見ていて、麗子サンと早坂をちらっとみると席を立った。
「私たち向こうにいるから」
そう言った涼の後ろを着いていく。
こんな大変な状況で思ったことは、涼ってこんなに可愛かったっけ?なんてこと。
後ろ姿に見とれていると文香とハル先輩に腕を掴まれた。
「…み、みんなここにいて…」
弱々しい文香の声に涼と目配せしてハル先輩と文香がいる場所の隣の場所に座った。
麗子サンはじっと二人をみつめている。
辛い沈黙。
それを破ったのはハル先輩だった。
「今さらって思うかも知れねぇけど」
ハル先輩の声に文香の肩が跳ねたのがわかった。
みんなが息を飲む。
「あの時、俺は文香を嫌いになんてなってなかった。…好きだった」