黒瀬くんの恋模様。




「本当に、ごめんな。俺の顔なんか見たくねぇよな。…んじゃーな」




ハル先輩は早口でそう言うとバタバタと店を出ていった。




「ハル…」




文香はハル先輩に握られた手に触れてそう呟く。




お前はそれでいいのか?



文香の気持ちは何もハル先輩に届いてない




それでいいのかよ…




そう思いながらも声に出して文香に届けてやれない俺はまだ弱いままだ。




「ふみちゃん!!!!」




俺は声がした方を見る。




「ふみちゃんはいいの!?ハル先輩に何も伝えなくていいの!?いいならどうしてここに来たの!?」




そこには立ち上がって文香を見つめる涼がいた。




「…涼」




「ハル先輩はちゃんと伝えたよ?次はふみちゃんの番じゃないの?」




涼は文香の前に立つ。





「手を伸ばしてくれたハル先輩を受け入れたのは、まだハル先輩が好きだから」




優しく微笑んで文香の手を握る。





「相手の気持ちは分かってるのに何が怖いの?」





















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