黒瀬くんの恋模様。





「…ふみちゃん、大丈夫かな」




心配そうにうつむく涼。




暗い夜道を涼と二人で並んで歩く。




麗子サンと文香と早坂は早坂の親父さんに事情聴取されるらしい



それで俺は涼を家まで送っている。



たぶん、文香がこんなときまで気を遣ったんだろうな…




「あ…でも黒瀬くんはふみちゃんと帰った方がよかったんじゃ…」




そう言ってあたふたし始める涼




「…んなことねぇよ」




そういえば涼のなかでは俺はまだ文香が好きなんだっけ



そんなことを考えていたら変な間ができてしまった。





「…ごめんね」




涼は泣きそうな顔で謝った。




なんでこんな顔ばっかりさせちまってんだろう





頭を撫でてやりたい。



そうすると涼がふっと安心したように笑って




そんな涼を見て俺の胸はきっときゅって変な痛みを感じるんだ




涼はなにも知らずに目を細めて微笑んで





俺はそんな涼に気持ちを伝える





文香じゃなくて今は涼が好きなんだ





そう言ったら涼はなんて思う?



なんて言ってくれる?





…こんなに悲しそうな顔、しないでほしいな。

















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