黒瀬くんの恋模様。
「黒瀬くんはさ、ハル先輩のことどう思ってたの?」
急に涼が話をふってきた。
「ハル先輩?」
「うん!私はね、ハル先輩と最初にあったときすっごい変な人だな~って思ったの。でもね、私の悩み真剣に聞いてくれて…解決するために手伝ってくれて。今ではすごく感謝してる」
そう話す涼の顔はさっきの顔とはうって変わって、すごく大人びていて綺麗だった。
綺麗すぎて直視できない。
…でも、そんな顔にさせてるのは俺じゃないんだよな
俺はあんなに悲しそうな顔にしかさせてやれない…
嫉妬やら情けなさやら怒りやら。
色んな醜い感情が混ざりあう。
「…で、黒瀬くんはどう?嫌いだった…?」
でも、そんな気持ちも眉毛を下げて不安そうに聞く涼を見たらふっとんだ。
かわいすぎんだろ…
誰にも言えねぇけど、理性まで吹っ飛びそうになった。
「最初から最後まで…俺はハル先輩好きだったよ。たぶん今も。いっつも自分のことより人のこと。文香を笑わせるのがうまい人だった。」
ハル先輩以上に文香を笑わせられる人はいない。
そう考えて苦しくなった日もあったけど、それ以上に嬉しい気持ちが大きかった。
「いなくなったときはそりゃいろいろ思ったりしたけど、最終的には帰ってきてほしいって思ってた。なんだかんだで文香と同じくらい大好きだよたぶん」
なんだか自分でいってて照れ臭くなってきて、ぶふふふなんて変な笑いかたをしてしまう。
「ふふふ」
横から聞こえた可愛い笑い声。
俺がきょとんとして涼をみていると、涼はくすくす笑いながら話し出した。
「初めて図書室で黒瀬くんに会った日かな…変な笑い方する人だなって思ったんだ」
俺、こんな笑い方したっけ?
なんだか恥ずかしくなってきて手の甲で顔を隠す。