黒瀬くんの恋模様。
「この間は嫌な態度とっちゃってごめんなさい。」
涼はそう言うと頭を下げた。
「いや、俺こそごめん!」
「ううん!私が悪いの!」
そこからは二人で自分が悪い、ごめんなさいの繰返し。
「ふっ、じゃあもう二人が悪いってことで!!!」
涼はその状況が面白かったのか、にこにこと笑ってそう言った
涼が笑ってくれるならなんだっていいよ
なんてことも言えるわけなく
「おう」
ただその一言に全部を込めた
「ふふふ。あ、じゃあここでもう大丈夫!送ってくれてありがとう!ばいばい!」
にこにこと笑ったまま、涼は慌ただしく帰っていった。
俺が立っている場所から、涼の家が見える
涼がドアを開けて家のなかに入る瞬間
「好きだよ」
こらえきれなかった気持ちが小さく声になった
こんな小さな声でも涼のところまで届けばいいのに。
気持ちだけでも届けばいいのに。
ってゆーか
「届けよ…」
俺は一人ごとのようにそう呟くと、来た道を戻って家を目指した