黒瀬くんの恋模様。
涼side
家のなかに入ると全身の力がガクッと抜けた。
「黒瀬くん…」
心臓がすごくばくばくいってる。
久しぶりに黒瀬くんと話せてすごく嬉しかったけどその反面、好きが増えていくことがすごく怖かった。
だって、黒瀬くんはふみちゃんのことが好きなのに…
この気持ちは叶わないのに…
そう思うと好きになっていくことが怖くて怖くて仕方がない。
それなのに黒瀬くんはいままで通り…いや、いままで以上に優しくって…
どんどん好きになっていっちゃう。
…ハル先輩が大変なときに私ったらなに考えてるんだろ
冷静になって立ち上がるとちょうどお母さんがお風呂からでてきた。
「あら、おかえり」
「…ただいま」
私はそれだけ言って階段をかけ上る。
そしてバタンと、勢いよく部屋のドアを閉めると壁に向かって軽くクッションを投げた。
昔からお母さんのことがあまり好きじゃない。
周りの目を気にしてばかりで私のことなんてみてくれない。
私より世間体とか、自分の立場が大切な人
あの人にとって私はストレス発散の道具でしかない。
それ以外に存在価値はない。