黒瀬くんの恋模様。
「ハルー!」
教室全部を見回っていく
走っては教室を覗き、走っては教室を覗く。
「ハル…どこにいるの?」
静かな朝の廊下に私とふみちゃんの息が切れる音だけが響く。
ハル先輩…本当にどこにいるの?
「…あ!」
そう言えばみんなに連絡してない
私は携帯を取り出すとみんなにメールを送った。
『たぶん、学校にいます』
それだけを送信すると携帯をポケットにしまう。
「ねぇ、涼…」
走ったせいでさらに体調が悪そうなふみちゃんが私を呼んだ
ふみちゃんのためにも早くハル先輩を見つけなきゃ…
「ハルがいそうな場所、わからない?」
ハル先輩がいそうな場所?
「それならふみちゃんの方が分かるんじゃ…」
私の言葉にふみちゃんは首を横に振った。
「こっちに戻ってきてからのハルのことは、私なにも分からないから」
ふみちゃんは少し寂しそうに微笑む
私はゆっくりとハル先輩と出会ったときのことを思い出した。
私と…ハル先輩が出会った時…
「屋上…?」
私とハル先輩は屋上で出会ったんだ。