黒瀬くんの恋模様。
一瞬なんの音も聞こえなくなる
目を丸くして頬を押さえるハル先輩と、肩で息をするふみちゃん。
その様子を私たちはただうかがっていた。
「ばっかじゃないの!!!!!」
今までに聞いたことがないくらいに大きい声
「あわせる顔がないとか、情けないとかほんとアホみたい!!!あんたは昔となんにも変わってない…一人で思い詰めて一人で何でも決めてすぐいなくなっちゃう!!!」
だんだんとふみちゃんの声が震えていく
「…あんたは、別に強くないのよ?なんで頼ってくれないの?私を弱いって思ってるの?…変なところで気を遣わないでよ…一緒にいろんなこと考えようよ…私を守ろうなんて考えないで…私が守ってあげるよ…」
ふみちゃんは目に涙をためて、ハル先輩の目の前に座った。
ハル先輩は固まったように動かない。
「…だから離れないで…一緒にいようよ…」
そう言うとハル先輩に抱きついた。
「…え?」
ハル先輩は状況がわかっていないようで、ただ目を丸くしている。
そんなハル先輩が焦れったかったのか、ふみちゃんはぎゅーっと強く抱き締めると
「…また、私と付き合いなさいよ。いい?」
口を尖らせてそう言った。
「…返事は?」
「…え、あ、はい。お、俺でいいなら」
ハル先輩は何度も噛んでそう言うと、恐る恐る抱き締め返した。
「…よかっ…」
ハル先輩の返事に安心したのか、ふみちゃんはゆっくりと目をつぶり…って
「ふみちゃん!?」
「文香!?」
「…は、りゅ…」
すーすーと寝息をたて始めた。
もしかして、今日ずっと寝不足で具合悪かったのかな…?
全員、安堵のため息がでた。