黒瀬くんの恋模様。
「…いつの間にか、俺が会いたいだけになってたんだ」
「え?」
「最初は涼を助けようと思ってたのに…いつの間にか…いや、たぶん最初から。俺が涼に癒されたくて会いたいって思ってた」
涼は俺の顔をただじっと見つめている。
「涼といると文香を忘れられたんだ…。あとは涼のことを妹みたいに大切に思ってたんだ。守ってやらなきゃ、ってな」
涼はぎこちなく頷くと俺をまた見つめる。
「でも、涼がここを走って出ていった日…。文香に言われたんだ」
首を軽くかしげた涼に笑みがこぼれる。
「千尋が好きなのは私じゃない。もう私に縛られなくていいのよ。ってな」
「…縛られる…?」