黒瀬くんの恋模様。
「…っ!離してっ!!!」
振り払われた俺の腕がゆっくりと見える。
頭が、この事実を受け入れようとしない。
「…涼?」
自分でも信じられないくらいか細い声が出た。
涼は肩で息をしながら俺を睨む。
「…黒瀬くんはまたここで私に相談したいのかもしれないけど、私はもうここで黒瀬くんと会いたくないの」
俺はなにも言い返すことができないまま、ただ立ち続けていた
「もう、黒瀬くんに話したいことは何もない。聞きたいことも何もない。…もう、解放してほしい…」
最後には涙ぐんでいた涼は、ばいばい。と一言言って図書室を出ていった
走り去る涼の背中を見てようやく頭が回り始める。
…涼は何を言ってるんだ?
いや、本当は分かってるんだ。
理解したくないだけなんだ。
俺は涼ともう話せない
その事実だけが何度頭の中で消そうとしても浮かんでくる、