黒瀬くんの恋模様。






「…っ!離してっ!!!」



振り払われた俺の腕がゆっくりと見える。




頭が、この事実を受け入れようとしない。



「…涼?」




自分でも信じられないくらいか細い声が出た。



涼は肩で息をしながら俺を睨む。




「…黒瀬くんはまたここで私に相談したいのかもしれないけど、私はもうここで黒瀬くんと会いたくないの」




俺はなにも言い返すことができないまま、ただ立ち続けていた



「もう、黒瀬くんに話したいことは何もない。聞きたいことも何もない。…もう、解放してほしい…」




最後には涙ぐんでいた涼は、ばいばい。と一言言って図書室を出ていった




走り去る涼の背中を見てようやく頭が回り始める。




…涼は何を言ってるんだ?




いや、本当は分かってるんだ。




理解したくないだけなんだ。




俺は涼ともう話せない




その事実だけが何度頭の中で消そうとしても浮かんでくる、












< 155 / 174 >

この作品をシェア

pagetop