黒瀬くんの恋模様。
立ち去る涼を引き留めることができないまま、俺は本棚に背中を預けて座る。
…離さないって、さっき思ったばっかだったのに
俺は何やってんだろうな。
「は、ははは」
乾いた笑い声が図書室に響く
視界はじわじわと歪み始め、鼻の奥がツーンとする。
俺、こんなに涼が好きだったんだな…
そんなことを考えている間に、俺の制服のズボンに黒いシミができ始めていた。
伝えさせてもくれないなんて、酷い女だよな
…でもその女を好きな俺は本当にバカだ
結局、届け伝われと願ってばかりで
俺は行動するのが遅かったんだ