黒瀬くんの恋模様。
「涼が少しだけ千尋を見たいって言うからさ」
「…っちょ!!ふみちゃん!!!!」
ニヤニヤしてそうな文香の声と焦る涼の声に、胸が高鳴った。
俺をみたかった?
突き放したのは涼なのに…?
「…涼って黒瀬のこと嫌いで突き放したんじゃないの?」
俺の心を読んでいるようなタイミングで早坂が問いかけた
心臓の音がバレるんじゃないかと思うくらい、すごい音をたてている。
「…嫌いになんて、なれるわけないよ」
大好きな透き通る声
「今だって、気持ちは何も変わってない」
落ち着く、柔らかい声
「…でも、受け入れてもらえないなら言えない。」
声だけでだれかわかるんだ
「でも、側にいたら…抑えられなくなっちゃうから」
あぁ、大好きなこえだなって。
それだけで分かるんだよ
「…好きだって、言いたくなっちゃうから…」
耳に入ってきた弱々しくて、自信のない声
「…え?」
声を出さずにはいられなかった。