黒瀬くんの恋模様。
「ふーーーーみーーーーちゃーーーーん!!!!!」
いつもはのぼるのが苦しくて、だいっ嫌いな学校の前の坂。
私たちは登校するために急な坂を、100メートル以上のぼらなくてはいけない。
でも、今日はその坂を1年前に入学してから初めて苦しいと思わなかった。
「何よ涼。朝から元気ね」
なぜなら、坂の上にいたふみちゃんこと 澤口文香[さわぐち ふみか]に伝えたいことがあったから
「はぁ…はぁ…」
人生においてこの坂を全力疾走することはないと思ってたけど…しちゃった
「で?なにしたの?」
息切れでしゃべれない私に、用件を催促するふみちゃん。
まだ話せない私は、代わりに自分の携帯をふみちゃんに見せた。