黒瀬くんの恋模様。






涼を見たのは今日が初めてではなかった。


一度、文香がむりやり涼に会わせたから。



正直、文香の友達に好きになられたりしたら面倒だから会いたくなかったんだけど



会った瞬間息を飲んだ。



「あ、橘涼です」



ただ、単純なあいさつ。


それでも、こいつの声を綺麗だと思った。


それ以上に見た目がヤバイ。


文香が美人だとすれば、涼は可愛い。


大きな目に、白い肌。


身長も小さくて、まるで小動物だ。



俺は初めて文香以外の誰かを可愛いと思った。



「黒瀬千尋です…」



入学してから女に名乗ったのは初めてだったかもしれない。



みんな、俺のことを知ってたから















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