黒瀬くんの恋模様。



結局、涼に会ったのはその一回だけ。


時々、文香と歩いてるのはみたけど話すことはなかった。



代わりに文香がうちに遊びに来ては、涼が涼がってばかり言うから


橘涼のことを俺が一方的に知って、一方的に覚えてたんだけど



さっきの様子からすると涼は俺のことは覚えてなかったみたいだな。


少し、悲しいって思ったことに自分でも驚いた。



「黒瀬くん?」



俺が何の返事もしないことを不思議に思ったのか涼が顔を覗きこんできた。



あぁ、もし文香がいなかったら俺はこいつを好きになってただろうな


文香と出会っていなければこいつとそれなりに幸せに過ごしてただろうな



でも、文香と出会ってしまった。



だから、文香がいなかったら、は存在しないんだよ。











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