黒瀬くんの恋模様。
「んじゃ行こっか?」
そう言って自然に私と手を繋いだ。
…黒瀬くんの手とは違う。
その当たり前のことに一気に走る嫌悪感。
私が繋ぎたいのはこの手じゃない。
「どうかした?」
にこにこしたまま私の顔を除き込む早坂くん。
「な、なんでもないよ」
私もにこっとしてみる。
「そっか~」
にこにこしながら歩く早坂くん。
…一体どこに向かってるんでしょうか。
遊園地の近くだけど、明らかに遊園地に向かってない。
だって今、遊園地の道案内の看板無視したもん。
「どこに向かってるの?」
穏やかな口調でそう聞いてみる。
「ライトアップの時間までまだまだだし、ぶらぶら散歩しようよ」
それなら待ち合わせ夜でよくない?
繋がれている手に爪を食い込ませようかと思ったけど、やめておいた。
だって、これ以上嫌な女にはさすがにはなれなくて…