黒瀬くんの恋模様。
「あ、ちょっと休んでいかない?」
カフェでもあったのかと、足元ばかりをみていた顔をあげると
「はい?」
そこには『LOVE HOTEL』の文字が…
「ね?休もうよ?」
そう言いながら私の頭に触れる。
ぞわっとして全身に鳥肌が立つ。
「キッ…ぐ」
叫ぼうとしたら口を塞がれた。
「おっとっと、付き合ってるのに酷くない?俺逮捕されちゃうよ。ははは」
目が笑っていない早坂くん。
でも私はなによりも口に触れる早坂くんの手が嫌で…
触れてほしいのはこの体温じゃなくて
こんな色じゃなくて、こんな匂いじゃない。
冷え性の私と合わさってちょうどいいくらいの熱い体温で
白くて透き通るような肌で、微かに香る香水が鼻をくすぐる
そんな手だよ
やだ…やだ…
そう思うと涙が溢れてきた。
「…黒瀬くんっ」