黒瀬くんの恋模様。



「…って!!!!」



口を塞いでいた気持ち悪い手がなくなると同時に、早坂くんの苦しむ声が聞こえてきた。




「なんで…」



滲む視界に写る2つの人影



あぁ、人影だけで分かってしまう。




「呼ぶのがおっせーんだよ」



「黒瀬くんっ!!!!!」



どんどん滲んでいく視界。



でも、見なくてもわかる。



どうせあなたは意地悪に笑ってるんでしょう?




「なっにすんだよてめぇ!!!!」



今まで地面にうずくまっていた早坂くんが勢いよく立ち上がった。



「なにって?変態殴ってなにか問題が?」




私は事の成り行きをみようと鞄から慌ててハンカチを取り出す。



目に押し当てて涙をぬぐいさると、二人の姿がはっきり見えた。




「あ?自分の彼女に手だしてなにが悪いの?」



そう言いながら眉間にシワを寄せて黒瀬くんに迫っていく。



「同意のもとならいいんじゃない?」



対照的なニコニコした顔で早坂くんに迫っていく黒瀬くん。




「同意だよ。なぁ、涼?」




くっついちゃうんじゃないかってくらいに顔を近づけて、私に話を振る早坂くん。




「どうなんだよ、涼」

















< 41 / 174 >

この作品をシェア

pagetop