黒瀬くんの恋模様。
「…って!!!!」
口を塞いでいた気持ち悪い手がなくなると同時に、早坂くんの苦しむ声が聞こえてきた。
「なんで…」
滲む視界に写る2つの人影
あぁ、人影だけで分かってしまう。
「呼ぶのがおっせーんだよ」
「黒瀬くんっ!!!!!」
どんどん滲んでいく視界。
でも、見なくてもわかる。
どうせあなたは意地悪に笑ってるんでしょう?
「なっにすんだよてめぇ!!!!」
今まで地面にうずくまっていた早坂くんが勢いよく立ち上がった。
「なにって?変態殴ってなにか問題が?」
私は事の成り行きをみようと鞄から慌ててハンカチを取り出す。
目に押し当てて涙をぬぐいさると、二人の姿がはっきり見えた。
「あ?自分の彼女に手だしてなにが悪いの?」
そう言いながら眉間にシワを寄せて黒瀬くんに迫っていく。
「同意のもとならいいんじゃない?」
対照的なニコニコした顔で早坂くんに迫っていく黒瀬くん。
「同意だよ。なぁ、涼?」
くっついちゃうんじゃないかってくらいに顔を近づけて、私に話を振る早坂くん。
「どうなんだよ、涼」