黒瀬くんの恋模様。



「あっ頭をあげてください!」



私は慌てて麗子サンに声をかける。



「お願いだから大地を思いっきり殴ってあげて…。私事だけど、そうしてもらわないと大地とこれから付き合っていけないから」



麗子サンはゆっくりと頭をあげて、早坂くんに聞こえるくらい大きな声でそう言った。



思いっきり殴ってって…そんなの無理だよ…



早坂くんに目をやる。


あんなにほっぺた腫れてる人にもう一発やれって…



早坂くんはボーッとしゃがみこんでいる。



「あの…」


麗子サンが私の隣に目をむける。


黒瀬くん、何言うんだろ…



「あんな奴と付き合ってて幸せなんですか?あんな奴思ってて苦しくなりませんか?泣きませんか?」




その言葉に黒瀬くんを見ると、真剣な顔で麗子サンと話していた。




これって…もしかして麗子サンと今までの女の子たちを重ねてるのかな…



違う人を想いながら女の子と付き合ってきた自分がその子達に聞きたかったこと?




「幸せではないわね。苦しいし、泣くに決まってるわ」


腕を組んで黒瀬くんを見つめる麗子サン。



「それならどうしてあいつと?」



「そんなの決まってるじゃない。好きだから。」



















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