黒瀬くんの恋模様。
「…っ」
黒瀬くんが息を飲んだのが分かった。
「好きだから一緒にいられるの。何があってもね。どちらかの好きがなくなったら別れるものよ」
「麗子サン…」
さっきまでぼーっとしていた早坂くんが私たちの方へやって来た。
「麗子サン。俺が間違ってた。俺が好きなのは麗子サンだけだよ。だからごめんね涼。俺を殴って」
真剣な顔で私をみつめると、ゆっくりと目を閉じた早坂くん。
これは、殴れという合図?
でも、こんなにほっぺたが腫れて…血もでてるのに。
どうするべきか迷っていると右手に感じた安心する温かさ。
「涼。殴ってやれ。二人のために」
黒瀬くんはただまっすぐに麗子サンと早坂くんをみて、私の手を繋いでいた。
二人の方を見ると、私たち同様に手を繋いで真剣に私を見つめている。
私の恋心をもてあそばれて、すごくすごく傷ついた。
殴ったってバチなんかあたんないわよね!!!!!!
「いってえー!!!!!!!」
今までのことを思い出しながら早坂くんを殴ると予想以上にすっきりした。
「涼…お前容赦ねえな…」
呆れたように私をみる黒瀬くんに、早坂くんを殴った手をみせて
「黒瀬くんも殴られたい?許可だしてくれたら全力で殴るけど?」
そう言ってにこりと笑って見せた。