黒瀬くんの恋模様。

千尋side





涼が走り去ってから数時間。


俺はまだ図書室にいた。



何をするわけでもなく、ただぼーっとしていた。



このまま、涼は俺のところからいなくなっちまうのか?



そう考えると胸が痛んだ。



その痛みを俺は無かったことにして立ち上がる。



もう下校時間も近づき、図書室も閉まる頃。


ここから出るしかなかった



帰りながら考えることもやっぱり涼のこと。



アイツが早坂を好きだっていうことはよくわかっていたはずなのに



何であんな言い方しかできなかったんだろう。



自分に問いかけては答えを探していく。




あんな言い方しかできなかったのは、涼が傷付くことに耐えられなかったから。



俺から離れて早坂のところに行くのが不安だったから。



…何より、俺が今まで他の女にしてきたことの重大さを理解し始めたせいで


誰かを守りたい、傷付けたくないって思い始めたから



「…くそ」




俺と早坂大地はどこか似ている。





















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