黒瀬くんの恋模様。
あいつだって本当は他に好きな奴がいる気がする。
同じことをしている俺だけがわかる直感的な何か。
なんつーか、涼を見る目に愛を感じない。
それにもまた腹が立って。
涼と早坂大地を引き離したくて。
でもそんなことをする権利のない自分にイラついて。
…涼、なんで分かってくれないんだよ。
早坂といたら、お前が傷つくのに。
俺なら、お前を守れるのに。
…守れるのに?
俺の気持ちは文香にあるのに、涼を守る?
自分でも理解できない思考。
でも、自然と思ったんだ。
守れるのに、守りたいのに、
どうして、お前はアイツを選ぶんだよ…
「だーーーー!っくそ!」
転がっていた空き缶を意味もなく蹴る。
少しはスッキリするかと思ったけど、逆にムカムカした何かが広がった。
むなしい。
俺よりも早坂が選ばれた現実が、虚しくて悲しい。