黒瀬くんの恋模様。



「千尋~?」



後ろから聞きなれた透き通った声が俺の名前を呼ぶ。



「…文香」




俺はゆっくり振り向くと無理に口角をあげ、微笑んで見せた。



それから文香は自然に俺の隣を歩き、自分のことをベラベラ話始めた。



「最近視力下がってさ~、そろそろメガネレベル」



「そっか」



涼、大丈夫なのか?



完全にアイツ、男をいい生物だと思ってやがる。



全然、そんなんじゃないのに。



俺だってすぐお前に触れたいって思うことあるし…



しかも相手は早坂って、絶対無事じゃ帰ってこれねえ。



…待てよ。



それってつまりは涼と早坂がキス以上のことをするわけで…




…耐えらんねえ!!!!!



つーか、キスもしてほしくねえ。



手も握ってほしくねえ。



隣もあるってほしくねえ!!!!!




「千尋?」



「…あ、あぁ」





せっかく文香の隣にいるのに、俺は何をやってるんだろ。





















< 50 / 174 >

この作品をシェア

pagetop