黒瀬くんの恋模様。
「千尋~?」
後ろから聞きなれた透き通った声が俺の名前を呼ぶ。
「…文香」
俺はゆっくり振り向くと無理に口角をあげ、微笑んで見せた。
それから文香は自然に俺の隣を歩き、自分のことをベラベラ話始めた。
「最近視力下がってさ~、そろそろメガネレベル」
「そっか」
涼、大丈夫なのか?
完全にアイツ、男をいい生物だと思ってやがる。
全然、そんなんじゃないのに。
俺だってすぐお前に触れたいって思うことあるし…
しかも相手は早坂って、絶対無事じゃ帰ってこれねえ。
…待てよ。
それってつまりは涼と早坂がキス以上のことをするわけで…
…耐えらんねえ!!!!!
つーか、キスもしてほしくねえ。
手も握ってほしくねえ。
隣もあるってほしくねえ!!!!!
「千尋?」
「…あ、あぁ」
せっかく文香の隣にいるのに、俺は何をやってるんだろ。