黒瀬くんの恋模様。
自己嫌悪に陥っている俺の隣で、文香は話続ける。
「そーいえば、最近涼と仲いいんでしょ?」
涼、という名前に胸が痛んだが誤魔化す。
「まぁ、それなりに。」
…なんだそれ。
文香の前だからって格好つけてる自分が恥ずかしくなってくる。
本当は大分かなり仲いいって思ってるくせに。
「千尋。あの子には…涼には傷ついてほしくないのよ。」
文香は本当に涼のことを大切に思っている。
少し、妬いてしまうくらいに。
でも、涼のことをよく知った今はそれにも納得する。
何だかんだで俺も涼が大切だから。
「早坂なんかと付き合ったら、絶対傷つくのに…。ってゆうか、彼女がいるのに涼と付き合う神経が分からない!!!!」
「は?」
俺の足が止まる。
「え?」
つられて文香の足も止まり、俺らは向かい合うように立ち止まった。
「早坂大地の彼女は涼だろ?」