黒瀬くんの恋模様。
一応、俺なりの告白。
さっきは言えなかったけど、流れ的に勘づいてしまった。
このままでは絶対に文香に想いを伝える日は来ないって。
俺の言葉に少し目を丸くした文香は、すぐに目を細めた。
眩しそうに目を細めながら微笑んで
「知ってる」
「うおっ」
そう言うと俺に抱きついてきた。
「千尋、そろそろ恋をして。本当は前から分かってたんじゃない?私に対する好きの意味。もう、私にとらわれなくていいのよ。」
文香の腕に力が入る。
文香と抱き合うなんて、俺の夢だったはずなのに。
気づいてしまった。
文香よりも涼に触れたいと思い始めている自分に…。
「…文香が好きだった。でも。それ以上にアイツが好きらしいな俺。気付かせてくれてありがとう。」
それは俺の本心で、急に自覚した自分に驚く。
まぁ、自分の気持ちがわかったところで次は涼だよな…
文香がトモくんとやらのところへ行き、文香の体温を感じなくなっても虚しさも悲しみも感じなかった。
頭にあるのは、涼をいかに守るか。
涼を傷つけるなんて許さねぇよ、早坂。