黒瀬くんの恋模様。
「大丈夫、少しダルいから保健室に行ってくるね」
黒瀬くんから距離を一歩分とったその足で教室を出る。
黒瀬くんもふみちゃんも不思議そうに、でも心配そうに私の名前を呼んだ。
それを無視して廊下を進んでいく私。
ふみちゃんの気持ちは分からないけど、黒瀬くんの気持ちが分かっている時点でもっと早くこうするべきだった。
そしたら、黒瀬くんとふみちゃんの時間が少しでもできるのに。
体調に異状はなかったが教室に戻るつもりもなかったので保健室に向かった。
…が、保健室のベットに飽きがなく結局戻ることに
やだな…
好きな人の好きな人って自分にとってはどんな存在なんだろう。
あんたさえいなかったら私を想ってくれたはずよ、っていう邪魔物?
あなたみたいにあの人に愛されてみたいっていう妬みの対象?
何にせよ、好意的なものではないはず。
それに対して、親友ってどんなもの?
なんでも話せて、いつもそばにいてくれる自分の理解者?
自分を受け止めてくれた大切な、大切な人?
何にせよ、好意的なもの。
この敵対しあってるものが私のなかでは同一人物、澤口文香。
そのせいか頭も胸も体も、ふみちゃんを好きな人の好きな人だと認めることを拒んでいる。
大好きなふみちゃんが、私の好きな人の好きな人みたいな酷い人間な訳がない。
全身が、そう言うの。