黒瀬くんの恋模様。





そんなことを話していると授業開始のチャイムが鳴った。



「あ…」



鳴っちゃったよ…



先輩はさっき美大だから授業は関係ないって言ってたけど…そんなことってないよね?



「先輩、本当にいいんですか?授業受けなくて…」




「…ハルって呼んでくれなきゃ答えねぇよ」



「…ハル、先輩」




私が小さな声でそう言うと、ハル先輩は少し不満そうに笑っていたけど許してくれたらしい。




「授業なんかいーんだよ。それより橘涼の話聞かせろ。もう見ず知らずの人じゃねんだからよ」




さっきの自己紹介はそーゆーことだったのか。



私、この人に話していいのかな…




黒瀬くんにももちろん話せない、ふみちゃんにも話せないこの気持ち。




この人に話していいのかな




「ほら、話せって」




私はその言葉に背中を押されたように、思ってることを全部吐き出していた。





「そっか、友達を好きな奴のこと好きになっちまったのか」




「…はい」




全部話した途端、急に恥ずかしくなってきた。



それと同時に黒瀬くんが好きだってどんどんどんどん実感してきて…





でも、言わなきゃよかったとは思わない。




話してすごくスッキリしたし、何より前向きになれた。



話すってすごいことなんだな…










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