黒瀬くんの恋模様。







「…話せてスッキリした?」




ハル先輩は少し微笑みながらそう言った。



私は小さくコクりと頷く。



誰かになにか言ってほしかったわけじゃない。



そんな不毛な恋やめなよ、とか



まだ希望はあるからがんばれ、とか



そんな言葉を求めてたわけじゃないってこの人は分かってたんだろうな。



ただ頷いて欲しかっただけだって分かってたんだろうな。




そう思うとすごくハル先輩が大人に見えた。




なにも言わなくても分かってくれる。



こんな人を好きになればよかったのかな…




胸がザワザワとする。



でも、そんなときにあの手はないんだ。



私を安心させてくれる魔法みたいな手。



そう思うと無性に寂しくなってきた。



「…橘涼」



やばい、泣くかも。



そう思ったときハル先輩が私を呼んだ。



そして顔を耳元によせる。




「…え?」




こそこそと耳元で話してくれたことに私は聞き返すことしか出来なかった。




そしてハル先輩の企んだ顔に頷くしかなかった


















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