黒瀬くんの恋模様。
会いに行くっつってもどこにいるか知らねぇし、涼からしたら迷惑なんじゃ…?
そんなことが頭を過ったけど、すぐ考えるのはやめた。
俺は会わなきゃだめなんだ。
涼はこうなんじゃないか、こう思うんじゃないか
相手のことを考えてるふりして逃げるのはもうやめよう。
俺に今できることをするしかない!
俺がぎゅっと握った拳を見ながら微笑んだ文香は
「そうと決まれば荷物を持って昇降口集合ね?」
そう言って帰り支度をし始めた。
…まだ朝なんですけど…?
そう思いながらも急いで教室へ向かう。
涼に少しでも早く会いたい。
てか、これから涼に会えるんだ…
そう思うと胸が変な音をたて始める。
緊張してドキドキしてるんだけど、ワクワクしてる。
それでも会うことが少し不安で…でも早く会いたくて焦る。
全てが混ざったような、そんな音。
文香を想ってるときはこんな音しなかった。
文香のこともちゃんと好きだったし、なのに涼と何が違うんだろう
そんなことを考えながら昇降口にいった俺が文香に遅いと怒られたのは言うまでもない。