黒瀬くんの恋模様。
「文香…元気だったか?」
ハル先輩は優しく微笑みながら俺らに近づいてきた。
涼はうつむいてその場を動こうとしない。
「文香…」
「千尋、帰ろう」
文香はハル先輩の声を無視した。
そして俺を腕の中から解放すると手を繋いできた。
「…え!ちょっ!」
俺はそのまま文香にぐんぐん連れていかれる。
どんどん小さくなっていく涼。
会えたのに…謝れなかった。
それ以前に目すら合わせてもらえなかった。
二人の間に見えた溝にショックを隠せない。
でも、今はそれよりも文香だ。
俺の手を握る文香を見る
眉間にシワをよせて何か思い詰めているようにあるっている文香。
…こうなるのも、しょうがねぇよな
なんでよりによってハル先輩なんだよ
なんであのタイミングでハル先輩が…