黒瀬くんの恋模様。
「ハルちゃーん!」
遡ること4年前。
俺と文香は中1で、ハル先輩は中2だった。
俺とハル先輩はバスケを、文香はそのマネージャーを。
同じ中学で同じ部活。
それにハル先輩も文香もあの性格だし、俺らはすぐに仲良くなった。
「千尋、私ねハルちゃんのこと好きなの」
入学した年の夏。
忘れもしない俺らの青春の場である体育館で、部活終わりの二人だけの居残り練習でそう言った文香。
その時には俺はレギュラー争いをするために居残り練習が日課になっていて
その日は文香が来るっていうから舞い上がったのを覚えている。
文香は美人で男に言い寄られたことはあっても、文香自身が誰かを好きだというのは初めて聞いた。
その分、すごくショックだった
文香のことをずっと好きだった俺にとっては衝撃的過ぎた。
それでもハル先輩なら…そう思って
「応援するよ」
俺は何とか笑ってそう言うことができた。