黒瀬くんの恋模様。
「…え?」
次の日、ハル先輩の教室に言った俺はそんな情けない声を出した。
「だーかーら、川上くんは転校したって」
目の前にいる人が言ってることが分からない。
ハル先輩が転校した?
もう、いない…?
俺は現実から逃げるようにうつむきながら教室へ戻った。
「…千尋、ハルはなんだって?」
教室に入るとすぐに俺のもとへ駆け寄ってきた文香。
「…っ」
俺は事実を口に出せなかった。
だって、ハル先輩が文香と別れた理由って…
「千尋!」
そんな俺をよそに文香は問い詰めてくる。
「傷ついたって構わない。どうして私と別れたのか、その原因に通じるものが知りたいの」
泣きそうなのに強い目を見たら、話すしなかった。
「ハル先輩は、もういないよ」
それでも文香の顔を見ながら話すことはできなくて
「え?」
情けないけど、声を震わせながら説明することしかできなかった