黒瀬くんの恋模様。
涼side
「く、ろせ君…」
ふみちゃんに連れていかれた黒瀬くんが見えなくなった頃思わず声になった言葉。
ずっと会いたかった人
それなのに、会っても素直になれなかった。
黒瀬くんとふみちゃんから逃げたあの日。
ハル先輩は私にモデルを頼んできた。
よく分からないけれど、それが私と黒瀬くんをいい関係にするかもしれないって。
あのときは何となく頷いてしまったけど、それはなかなかちゃんとしたモデルだったらしくて
学校では公欠となってハル先輩の家に通い続けていた。
毎日毎日ハル先輩の前で座るだけ。
正確には座りながら好きなものについて考えるだけ。
でもそんな時でも浮かんでくるのは黒瀬くんばかりで、好きなものについて考えているはずなのに何度か泣きそうになってしまった。
そして今日も泣きそうになってしまって…
「…お菓子でも買いにいこっか」
ハル先輩が気分転換にでも、とそう言ってくれたので二人で近くのスーパーまで買い物に行った。