黒瀬くんの恋模様。
「言ってなかったことっていうのは、俺が最近転校してきたっていうこと。」
私はゆっくりと頷いた。
正直少しだけそれだけ?って思ったけど、それだけなはずがない。
ハル先輩の顔が絵を描くときのように真剣だったから
「でもね、地元はこっちなんだよ~」
そこまで言うと紅茶を一口飲んだ。
その動きまで集中して見てしまって、そんな私を見たハル先輩はふっと笑った。
「…文香と千尋と同じ中学だった。同じ部活だったんだ」
それからハル先輩は止まることなく話し始めた。
黒瀬くんとふみちゃんとはすぐに仲良くなったこと。
ふみちゃんのことを好きになったこと。
ふみちゃんと付き合うようになったこと。
初めて知るふみちゃんの姿に驚いたけど、だんだんと苦しそうになっていくハル先輩に気が気じゃなかった。
「文香と付き合って1年過ぎたくらいの頃かな。親父の転勤が決まったのは」
私は息を飲んだ。