黒瀬くんの恋模様。





「…っ」



「えっ、泣くなよ橘涼!!!ごめん!余計なこと言った!!!!」



ハル先輩は私が黒瀬くんのことを想って泣いてるんだと勘違いしているらしい。


いや、勘違いではないんだけど



でも、今はハル先輩のことを想って泣いてる。




神様は意地悪だ



何もあのタイミングであの二人をハル先輩に見せなくてもいいじゃないか。



あのタイミングでハル先輩に別れを決断させなくてもいいじゃないか。



恋愛はタイミングが大切だ、なんて言葉よく見かけるけど今だけはそんな言葉信じたくない。



気持ちさえあればどうにかなるって信じたい。






「ハル先輩…」




「ん?」



まだ私の涙に焦っているハル先輩の手を握る。



黒瀬くんのとは違う、冷たくて大きな手。




「まだもう少しだけがんばってみましょうよ」



どうか、ハル先輩の恋が実りますように


ハル先輩の気持ちが届きますように










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