鬼姫と恋の唄(仮)
・牛角山の鬼退治
「おい蔵之介、なんだこのどんちゃん騒ぎわ」
俺が城に戻ると、
城の連中と数名の雇われ兵どもがわーわー賑やかにやっていた。
「龍威!それがよぉ、殿様のやつ、これだけ兵がいれば鬼なんか足元にも及ばぬ。鬼の頭の首をとった暁には下っ端の鬼共を我の下僕にしてやるーなんてはりきっちまってよ」
殿の口調を真似てみせる蔵之介に苦笑いをこぼす。
あのバカ殿の考えそうなこった。
「おぉ!こんなところにおったか!」
最初に会った時とは別人のような笑顔をみせるながら噂の男がこちらに向かって歩いてくる。
となりには華やかな飾り物を施した女を連れている。
おおかた、この城の姫ってとこか。
「なんか用か、殿さんよぉ」
蔵之介は巻き込まれたくないのか、その場を去り仲間の元へともどった。
「私、梅と申します」
深々と頭をさげる梅と名乗る娘。
龍威は娘にまったく興味ないのか目もくれず、
「もう用はすんだんだったら俺は行くぜ」と蔵之介に続き仲間の元へ足をすすめようとした。
しかし、
がシッと腕をつかまれそれはかなわず龍威は足を止めた。
「まぁまぁ待たぬか。ちと、こちらへ」
姫に聞かれたくない話なのか、少し離れにつれてこられた。