鬼姫と恋の唄(仮)
「で、なんだよ」
「実はな、牛角山の鬼には美しい鬼の姫がおるのじゃ」
その言葉にかすかに眉をピクッと動かす龍威。
さっき刀を交えた女が頭にうかんだ。
「そやつだけは必ず生け捕りにしてほしいのだ」
「あいつ・・・その鬼姫の名は?」
紅葉、か。
殿には「わかった」とだけ言い追い払った。
また会うのが楽しみだぜ。
「蔵之介、てめー逃げやがったな」
殿との話しを終え、仲間のもとに戻るやいなや蔵之介の頭をゲシっと殴った。
「いって!悪ぃ悪ぃ、俺どうもあの殿様苦手なもんで」
苦笑いをみせる蔵之介にジト目をむけ隣にあぐらをかいて座った。
「それより、殿様はなんだって?」
「あぁ。姫の紹介されただけさ」
「なかなか別嬪だよなー」
「ま、あそこにいる連中はあの姫目当てだもんな」
「俺もあのくらい別嬪だったら嫁にほしいぜ」
姫の話で盛り上がる仲間に終始苦笑いをみせる龍威。