鬼姫と恋の唄(仮)
「紅葉!青風!起きろ!」
赤月のどでかい声に目をうっすら開ける2人。
「なによ赤月ぃ・・・まだ朝方じゃない」
目をこすりながら体をゆっくりおこす紅葉に、無視して寝続ける青風。
「くぉーら青風!起きろってんだ!」
しびれをきらした赤月が青風を蹴っ飛ばし、いやいやながらも起き上がった。
「なんだよ兄者」
「こわい夢でもみたの?」
なるほどなるほど、なんて2人は勝手に納得してまた横になろうと体をたおした。
「おまえら!緊急事態だ!」
再び赤月は青風を蹴っ飛ばし、紅葉を無理やり立たせた。
緊急事態という言葉に反応した2人はパチっと目をあけ、外の様子をうかがう。
「人間・・・のにおい?」
鼻のいい紅葉はいちはやく状況を把握し、じっくりとあたりを見わたす。
「うぎゃああああ」
仲間の鬼と思われる叫び声が山にひびいた。
「・・・どうなってるの、赤月」
「人間がおしよせてきたみてぇだ」
「さきに行くぜ」
青風は叫び声のした方へダダダっと走って行った。