鬼姫と恋の唄(仮)
「・・・またか!」
城内の一室で殿は奇声にも近い声をあげた。
村がまた鬼に襲われた、と耳にしたのだ。
「もう、ほおってはおけぬ!!鬼を退治せよ!」
興奮気味の殿はそわそわと動き、叫びだした。
そんな殿を家臣達は鎮めさせようと必死におさえる。
「しかし殿、牛角山の鬼共には到底かなわないかと・・・」
「うるさい!!何を言うか!!」
家臣の一言に落ち着きを取り戻しかけた殿はまた、奇声に近い声をだした。
城の付近にある村が次々と襲われていき、
いつ城が襲われるかわからない不安と恐怖が殿を支配しているのだ。
「落ち着けよ、殿さん。俺が鬼の頭の首、とってきてやるよ」
襖が勢いよく開けられる音とともに青年の声が部屋中に響いた。
その声に、いや言葉に反応し殿はぴたりと動きを止めた。
「お、お主!今何と!?」
開けはなたれた襖の前には整った顔立ちをした青年が腕を組みニヤッと口角をあげていた。
「俺は龍威。あんたの家来が雇った雇われ兵の首領だ」