鬼姫と恋の唄(仮)
「雇われ兵・・・だと?」
殿は自分の隣にいる家臣へと目線をむけた。
雇われ兵を雇ったことを知らなかったのだ。
「申し訳ございません殿。勝手ながら、腕の立つ兵達を招集いたしました」
それだけ聞くと目線を龍威に戻した。
「こんな小僧に、あの恐ろしい鬼を退治できるとは思えぬ」
「しかし殿。この龍威が率いる雇われ兵の隊は、集まった隊の中でも1位2位を争うほどの腕の立つ兵のあつまりでありまして・・・」
おどおどと殿に説明をする家臣の言葉にいちはやく反応したのは龍威だった。
フッと鼻で笑うと、「俺もなめられたもんだな。」そう呟き外が見える位置に歩き出し城の前にあふれる武装した男達の姿を見た。
「見てみな、殿様?あんたの娘をねらって集まってきた雑魚共だ」
「なに!?」殿は目を見開くと龍威の隣に走って行き外の様子をうかがった。
「これは皆・・・雇われ兵の者か?」
これなら鬼を退治できる、そう考えたのであろう殿の顔は歓喜の表情にあふれていた。
それから間もなくハッとしたように龍威にむきなおると、
「わしの娘を狙ってとは・・・どういうことだ?」
ギロッと今までにない迫力で睨み付けた。
「あれ?あんたが言いだしたんじゃねぇのかよ。鬼の頭の首をとった者に姫と祝言をあげさせる・・・ってね」
雇われ兵とは名ばかりの雑魚ばっかり集まったな、そう付け加えると面白そうにケラケラ笑い出した。
楽しそうな龍威とはうってかわって、
殿は先程の一瞬の歓喜な表情はふっとび殺気立ていた。
「も、申し訳ございません。こうでもしないと・・・誰も鬼退治なんて名乗りを上げず・・・!」
「黙れ!」という殿の怒声で家臣の言葉は遮られた。
「まぁまぁ。俺は姫なんて興味ねぇ。俺はただ・・・強い奴と殺りあいてーだけだからよ」
ニヤッと笑い殿に背をむけるともと来た道を戻るため足をすすめた。