鬼姫と恋の唄(仮)
「龍威、なんだよあいつら」
仲間の元に戻ると、
仲間たちは姫欲しさに集まってきた野郎共をポケーっとしながら見物していた。
「ほっとけ。あんな奴ら、腰ぬかして泣きじゃくるのが関の山さ」
龍威の言葉にゲラゲラ笑いだす男たち。
「さーて、てめーら。今日はゆっくり休みな。明日から大仕事だぜ」
龍威は仲間に一声かけると、
1人、城の外へと歩き出した。
「おい、龍威。どこに行くんだよー」
仲間の1人の蔵之介が声をかけた。
「散歩さ」それだけ言って右手をあげて手をヒラヒラさせてみせると、振り向きもせずにまた足を進めた。
「ったく」
蔵之介はそれ以上は呼び止めずにしばらく龍威の後姿を眺めた後、少し離れたところで酒をかわす庄吉たちの元へとむかった。
覚悟しときな、牛角山の鬼共。
俺がまとめてあの世におくってやらあ。