鬼姫と恋の唄(仮)
においをたどって行けば、
武装した5人の男が火を囲んで円をえがくように地に腰掛けていた。
男たちの横にはイノシシの亡骸が放り投げられている。
「ねぇ、なにしてるの?こんなところで」
紅葉はイノシシの亡骸の上であぐらをかき、男たちにニッコリ微笑んだ。
「っ!何者じゃ!」
突然現れた角をもつ少女に驚きを隠せないでいる5人の男たち。
サッと鞘から刀をぬき、少女に向けた。
「あたしが先に聞いたんだから・・・答えてよ」
さっきまでの微笑みは消え去り鋭い目つきになると、紅葉は刀もぬかずに男たちにとびかかった。
「「ぎゃあああああああ」」
男たちの悲痛な叫び声が山に響き渡る。
悲鳴が消え去ると、獣の遠吠えもなくなりあたりは気味が悪いほど静まり返った。
ズボッ
紅葉は男の腹に貫通させた自らの右腕をぬきとった。
足元には腹に風穴の空いた男たちの亡骸が転がっている。
あびた返り血が月の光に照らさせ妖しく輝き、
紅葉をより一層美しく魅せた。