恋音
あたしは腰を抜かして、ただただ耕輔とつぶやいていた。

「さやか、早く先生に言って…」

「ぁ…。耕輔は…?ドコ…?ねぇ…」

「ゴメン、一緒に行こう…」

良く考えれば、この音で先生が気付かないわけがない。

でも、そんなことも考えられなくなった。

「せんせ…。耕輔が…」

「耕輔くん!?」

最初に反応したのは、小野先生だった。

「耕輔くんがどうしたの!?」

「こう…すけ…。も、いない…」

「さやか、いいよ。言わなくて。先生…。耕輔が…」

話せないあたしに代わって、先輩は一部始終…。

プライバシーにかかわらない程度を先生に告げた。

先生たちは、中靴のまま、外へでていった。
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