恋音
携帯があれば……。

夜までお話したり…。

ラブラブメールしたりとか!!

「多分これから受験とか、卒業とかで忙しくてなかなか会えないだろうからさ」

ぁ……。

そっか。

そうだよね…。

あたしたち、いつかしばらく会えなくなるんだ。

「そーんなの!愛の力で楽々乗り切っちゃうもーん♪♪だから、心配なんていらないよ?」

「そっか……」

「うん!!さぁ!ご飯食べたらとっとと行く!受験勉強しないの!?」

「ふぁ~い」

大空翔が遠ざかってゆく。

ずる……。

あたしはベンチから滑り落ちて、ぺたんと土の上に座った。

気づいたら涙が流れてた。

心が汚いキモチで埋もれてく。

“行かないで…”

“卒業しないで…”

“遠くに行かないで……”

迷惑はかけられない。

自分のキモチをおさえこもうと頑張った。
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