恋音
でも押さえ込めば、押さえ込むほど涙が止まらなくて。

静かなところで涙が地面にポタッと落ちた音だけが響いた。

「あー!もうっ!!今日早退しよっ!」

今日はもう学校にいたくない。

そそくさと帰った。

貰ったケータイ。

互いにメモリのNO.1は恋人。

つまり、あたしと大空翔の番号とメアドがメモリにある。

ピルルルルルルッ!!

ピルルルルルルッ!!

「ぇ!?なにっ!!??」

ケータイ初心者、使ったことがないあたしは使い方がわからなかった……。

説明書を引っ張り出す。

ピルルルルルルッ!

ピルルルルルルッ!!

メールだってわかった。

だって適当に押したらその本文がでてきたのだ!!

“送信者:大空翔”

“題名:緊急事態!発生!!”

「えっ!?えええええ!!ききききき、緊急事態!?やっばー!」

カチカチカチカチ。

とりあえずメールを開く。

カチカチカチカチ…。

下へどんどんスクロール……。

白紙メール??

本文がスクロールしても出てこない?
!?????!!!!

“ばぁ~っか!引っかかったな!さやかのことだしな。まぁ返事、くれよー♪♪”

は     い     ?

“だましてたの!?むぅ……\(A•)”

か……ち………。

ケータイのカチカチという音が、静かな部屋に響き渡る。

あたし、なんなんだろ……。

メールしてるだけで幸せなはずなのに。

こうして違う形で話せるだけ幸せなはずなのに。

もっと、いっしょにいたい……なんて……。

これじゃ、ただのわがまま娘だ……。
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