恋音
麻姫の目が、さっきまでとは違う瞳になった。


「狙ってんだろ!先輩のこと。姫をバカにしてる?あんたの行動の方がよっぽどバカにしてんのよ!」

「狙ってないよ!先輩はあたしの…あたしの…、尊敬してる人なの!行こうよ、姫」

「う、うん…」


先輩があたしに悲しい目を向ける。


「さやか…………」

「えっ!?」

目が離せない。

先輩の目があたしの方を見てると思うと、身動きがとれない。

その時のあたしはきっと、顔が真っ赤だったに違いない。


あたしは、ハッと我に返り、さっさと立ち去った。

最後に麻姫ににらまれながら――――――。
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