恋音
「別に、せ、先輩のこときらい、じゃないです。隠し子でも、なん、でも。かまわないんです。で、もこのままじゃ、あたしが、納得いか、なくって…。先輩!ごめんなざぁい!」


あたしはそう、大空翔へ別れを告げた。

大空翔は引き留めはしなかった。

ただ、うつむいたままだった。

何も言わずにあたしは立ち去った。

麻姫と、大空翔だけが取り残されていく。

その、大空翔との思い出の場所に、二人だけが残っている。



あたしは逃げた。



大空翔にさやかはそんなやつだったんだって言われることを。


大空翔にさやかとは付き合えない。別れようと言われることを。
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